新電力、こだわりで売る

新電力、こだわりで売る

東京都世田谷区で「やさしい電力自由化講座」が開かれた。市民ら20人ほどが参加。三つのグルーログイン前の続きプに分かれ、「どんな電力会社が理想か」をテーマに話し合った。参加者からは「もうけ主義じゃない」「再生エネを普及させている」などといった意見が出た。

 

 主催したのは、2011年に設立したベンチャー企業「みんな電力」(本社・東京)で、参加者はネットなどで知り、集まった。同社は東京電力管内の家庭向けに、4月から電力の販売を始めた。今年度は電源の7割を全国33カ所の太陽光発電所から、残りの3割を大手電力会社などから調達する計画だという。

 

 電気料金は基本料が一律月830円、1キロワット時あたり23・7円。使用量にもよるが、従来の東京電力の一般的なプランとあまり変わらない。ただ、大石英司社長は「うちは価格で競争しない」と言い切る。「ウリ」にするのは、電力会社や電気を生産する発電所の「顔」が見えることだ。

 

 同社は市民や大学生向けに電力自由化に関する講座を開き、消費者との交流の場を作ってきた。また、調達先の太陽光発電所を運営する農家らをネットで紹介し、お気に入りの発電所を見つけてもらう。電気自体はすべて送電線を通じて混ざり合い、特定の発電所から直接買えるわけではないので、応援したい発電所に基本料金から一定額を寄付できるようにする。

 

 大石社長は「東日本大震災を経験し、電力会社に親しみやすさや、透明性を求める消費者が増えている」と話す。 この2カ月ほどで同社への事前の申し込みは、すでに1千件を超えているという。

 

 ■「売電通じ、町づくり」

 

 電力を買って、自分の地域を応援しよう――。そんな趣旨で、電力販売に乗り出す自治体も出てきている。

 

 福岡県南部のみやま市は昨年3月、地元の電気関連会社などと共同出資。「みやまスマートエネルギー」を設立し、4月から市民向けに電力を売り出した。市が出資する太陽光発電所を中心に、家庭の余剰電力、不足分は九州電力からも電源を調達する。

 

 市内に住む越智幸子さん(56)は4月、九州電力からみやまスマートエネルギーに契約を変えた。試算では九州電力と比べ数百円程度安くなる。だが、切り替えの最も大きな理由は「高齢化する地域が少しでも活性化するために、市を応援したいと思った」からだ。

 

 同社は売電以外にも、高齢者の電気の利用状況を把握して安否をチェックしたり、電気料金に付与されるポイントを使い、地元店で買い物ができたりするサービスも予定している。現在500件ほどの顧客を獲得。市内の7割にあたる約1万件が目標だという。磯部達社長は「売電収入を上げるのではなく、売電を通じた町づくりをするのが目的であり、強みです」。

 

 群馬県の中之条町が設立した電力会社「中之条パワー」も今年7月から町民向けの契約受付を開始する。町が運営する太陽光発電所や卸売市場から電源を調達する。料金設定は東電並みにする予定だが、同社の山本政雄社長は「安さを売り物にするのではなく、エネルギーの地産地消、再生エネの普及をすすめたい」と話す。

 

 電力も扱う通信大手のソフトバンクは、東京電力エナジーパートナーと提携して携帯電話などの顧客向けに提供するプランとは別に、グループ会社が再生エネにこだわる独自のプランを提供する。約6割を太陽光発電の電力で占める計算で、「再生エネの比率が高い」とPRする。

 

 まずは北海道電力管内と東京電力管内の顧客が対象で、電気料金は両電力会社の新しい料金プランとほぼ変わらないという。契約者数は公表していないが、「毎日申し込みが来ている状況」と馬場一・執行役員本部長。「安さで選ぶ消費者だけではない。多様なニーズに応えたい」(山田理恵)

 

 ■「安さ」重視76%、「地元企業」11%

 

 経済産業省が一昨年4月に実施した調査(20〜69歳の男女、1500人)によると、「電力会社の選択時に重視する項目」(複数回答)は、「料金の安さ」が76%で最も多く、「料金メニューや契約手続きの分かりやすさ」(48%)、「生活パターンにあった料金メニュー」(39%)と続いた。「再生可能エネルギーの使用量の多さ」は23%、「地元の企業」は11%だった。

 

 ◆キーワード

 

 <電力自由化> 一般家庭や小さな店舗計8500万件は、東京電力など地域の大手電力会社としか契約できなかったが、今年4月から電力会社を選べるようになった。ガス、石油などのエネルギー関連会社をはじめ、自治体が出資する会社なども参入している。